佐元工務店

【スペシャル対談part2】佐々木教授と語る地域創生論

2025年11月10日

「この地に根差し この地を愛し この地で活きる」佐元工務店のリブランディングが目指すのは、単なる企業イメージの刷新ではなく、地域と共に歩む工務店の覚悟の表明です。来春オープン予定の新社屋には、地域に開放されるコミュニティスペースが設けられ、まさに地域の社会インフラとしての役割を担おうとしています。

今回は宮城大学で地域と自治体、企業を結びつける取り組みを続けてきた佐々木教授の視点から、建築が持つ地域創生の力と、大学が果たすべき役割について深く掘り下げていきます。

part1はこちら

建築が人を集める力とその課題

佐元工務店が最も力を入れているのは、住宅の断熱性能向上です。これは省エネルギー対策にとどまらず、住む人の健康を守る取り組みでもあります。しかし現代建築において、魅力的なデザインと高い性能の両立は大きな課題となっています。

佐藤社長
「住宅の断熱性能を高めることで、省電力で年間の温度差をなくし、健康にも寄与します。しかし高性能住宅を追求するほど、デザイン面での制約を生むというジレンマも存在します。このようなトレードオフの問題について、大学でも話されることはありますか」

佐々木教授
「私の場合は事業構想学群なので、経済と環境のトレードオフの話はよくしますね。これまでは電気代も安かったので、エアコンをつければよかった。しかし、これからはエネルギーだけで何とかできる時代ではありません。二つの対立する要素をどう両立させるか、これも“共創”が解決の鍵になると考えています」

公共建築における「合意形成ワークショップ」の意義

佐々木教授が取り組んでいるのが、公共建築における住民参加型の設計プロセスです。従来の「行政が決めて住民が使う」という一方通行ではなく、使う人の声を建築に反映させる仕組みを構築しています。

佐々木教授
「今私が関わっている宮城県柴田町の新図書館づくりと福祉公園一帯の賑わい創出プロジェクトでは、早い段階から合意形成ワークショップを行っていました。住む人と議論を重ねて作る個人住宅の手法を、公共建築にも応用した形です」

しかし、住民参加だけでは限界があることも教授は認識しています。専門性と住民ニーズのバランスをどう取るかが課題です。

佐々木教授
「公共建築だと住民が直接お金を負担するわけではないので、どうしてもコストが膨らみがちです。そこで重要なのが専門家の役割だと考えています。建築家は専門家でありアーティストでもある。世界に評価される建物を作りたいという思いを、地域と共創できる建物を作りたいという思いに変えていけばいいんです」

佐元工務店の新社屋計画は、まさにこうした「共創」の理念を体現するものです。企業の事務所機能だけでなく、地域のコミュニティスペースとしての役割も担う設計となっています。

建築デザインの力で人を集め、高い性能で快適性と持続可能性を両立し、さらに地域の交流拠点として機能する。これこそが現代の地域工務店が目指すべき建築の在り方なのかもしれません。

社会デザインとしての企業経営

佐々木教授は、「デザイン」という言葉の意味そのものが変わりつつあるとも指摘します。

佐々木教授
「デザインという言葉の定義も、時代とともに変わってきました。表面的に美しくすること=デザインではなく、これからは社会や地域、企業のあり方も含めて、すべてがデザインの対象です」

佐元工務店の「この地に根差し この地を愛し この地で活きる」という新しいミッション。これは昨今よく話題にのぼる「サステナブル」や「持続可能」といった言葉を、ローカル版として言い換えたものだと語ります。

佐々木教授
「社会全体は変えられませんが、目の前のことは作っていけます。そのために必要なのがみんなで共創していくこと、学び合っていくことです。今回のミッションを深く掘り下げていけば、世界と繋がると思いますよ」

次回は、佐元工務店で実践された朝礼改革を事例に、学問の本質である「問いを学ぶ」姿勢が企業変革にもたらす具体的な効果についてお伝えします。

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