佐元工務店

この地で活きる ─ 仙台で輝く企業・人 ─
vol.1 誰かに教えたくなる「えくぼや」のお菓子

2025年12月26日

この地で活きる ─ 仙台で輝く企業・人 ─ vol.1
誰かに教えたくなる「えくぼや」のお菓子

こんにちは、佐元工務店です。
弊社は「この地に根差し この地を愛し この地で活きる」をミッションに掲げております。

宮城・仙台でのくらしをより豊かなものにするために、この地で輝きを放っている企業や活躍されている人物にお話を聞き、その魅力を探る連載コラム「この地で活きる〜仙台で輝く企業・人〜」をスタートいたしました。
今回は仙台市若林区大和町にある「えくぼや」さんを訪れました。
ここは仙台市地下鉄東西線「薬師堂駅」から徒歩3分のところにあり弊社社長も足しげく通う、まちの人たちに愛される和洋菓子店です。

甘く優しい香りもふんわりと漂う店内には、おはぎ、ケーキ、焼き菓子が並び、この日もひんぱんにお客さんが訪れ、お目当てのお菓子を買い求めていきます。

売り切れてしまったお菓子にがっかりしながらも店員さんの説明に新しいお菓子を試してみるお客さん。
そんなやり取りにも、和やかであたたかい空気を感じます。

【「この地で活きる」素敵な人 目黒とく子さん】


やわらかい雰囲気に
ちょこんと乗った帽子がオシャレ!

「おはぎ屋をはじめたものの、お客さんが来なくて…2週間で挫折しました」

オープン当時の苦労をさらりと話す目黒とく子さん。えくぼのできる素敵な笑顔の「えくぼや」店主です。
2002年(平成14年)1月14日仙台ではどんと祭が行われるこの日、おはぎの店としてオープンした「えくぼや」は、「もち米と小豆があればおはぎが出来る!」とおはぎ屋をはじめたものの、当初お客さんはごく僅かでした。

告知する術も知らず、また店の前の道路は積もった雪が凍って、歩く人も雪の解けた南側を選んで歩くので通りがかりに店に気付いて立ち寄るという人もいなかったのです。

「このままではダメだ」と2週間で切り替え、おはぎだけではなくほかのお菓子も作ることを決意。
もともとお菓子作りが好きだったとく子さんは手始めにクッキーを焼きご来店いただいたお客様に差し上げ試食してもらうことから始めて、ひたすらお菓子を作り続けました。

お菓子を一緒に作るのは旦那さんと次男さんのお嫁さん、店頭に立ったり包装に使うシールを作ったりと、全面協力し励ましてくれる当時まだ学生だった娘さん。
波照間島の黒糖がおいしいと沖縄にいる息子さんから教えてもらい作った黒糖クッキーは今もお店に続く定番商品。

東日本大震災以後は後押ししてくれる家族の存在も大きな力になりました。

そうこうしているうちに、まちの誰かが地元のテレビ番組にこんなお店ができたと投書してくれ、番組で紹介されたこともあり少しずつお客さんも増え、みなさんに「美味しい」と通ってもらえる店になりました。

今では「頂き物で食べて美味しかったから」「ここの味がなつかしくて」と県外から訪れる方もいらっしゃいます。
まさに口コミでお客さんの輪が広がっていったのです。

「うちのお菓子はスタンダードなものばかり。みなさんもそういうお菓子が大好きですね」

店頭には評判のおはぎのほかに ロールケーキ、テリーヌショコラ、くるみのタルト、プリン、シフォンケーキ、ニューヨークチーズケーキ、ビクトリアケーキ、またその季節にしかおいしさの出せない、春の桜もちや柏もち、夏のあんみつ、秋冬のアップルパイやタルトタタン、モンブランやマロンマロンなども並んでいます。
どれも昔から親しまれてきたメニューで、午前中に売れてしまうお菓子もあるほど。

朝6時から手間暇を惜しまず、ひとつひとつ丁寧につくられたお菓子たち。
素材も厳選し、おいしさに関係のない余計なものは使いたくないという思いから無添加という選択肢になりました。
大量生産もできませんし、日持ちもしませんが、作れる数だけを作っています。

素朴な見た目ながら味わいは繊細で熟成されたような深みがあり、初めて食べたのにどこか昔から知っていたような気持ちを呼び起こします。
無添加のやさしさも、ほっとするおいしさに繋がっているのかもしれません。

子どもからお年寄りまで安心して食べてもらえるお菓子は、手土産やギフトにもぴったり。
結婚式の引菓子やプチギフトとして注文を受けることもあります。
まさに「この地に根差している」お店です。

「2度の骨折でお店を不在に でも将来の検証ができました」

写真:左 とく子さん/右 お嫁さんのお姉さん

このまちの景色に欠かせない和洋菓子店となった「えくぼや」ですがとく子さんが骨折で1か月入院したことがありました。しかも立て続けに2度も。

23年続いた店を長期で休まなければいけないピンチでしたが引き続き旦那さんがお菓子を作り、息子のお嫁さん姉妹が協力してくれて店を切り盛りし休むことなく続けることができたそうです。

骨折は不運でしたがいつでも店を任せられると気づかされる出来事でした。
最近はお店のInstagramも立ち上げて更新してくれているそうでそんな次世代家族の姿に安心しています。

喜寿を迎えたとく子さんは「おいしい」「頑張って」と通ってくださるお客さんのために、健康で、できるだけ長くお菓子をつくり続けたいと話してくれました。

ガラス越しからでも伝わる温かな雰囲気。取材中も、思わず吸い寄せれられてきたであろう方が続出していました

 

取材を終えて

えくぼやさんのケーキを初めて食べた時の感動を表現する言葉を探しながら『赤毛のアン』のマリラが焼くケーキはこんなおいしさだったんじゃないかなという思いが浮かびました(極めて個人的なイメージですが)。
手づくりで何度も作るうちに磨かれて、まちの人の評判となるようなお菓子です。

えくぼやさんがオープンした2002年はインターネットの利用率が高まってきたとはいえFacebookもまだ誕生していませんでした。
文字通りの口コミだけでゆっくり広がっていったおいしさには、確かなものがあるのだなと思いました。

また何事も前向きにとらえて静かな情熱を持って活路を見出していくとく子さんの人柄と、支えるご家族との結晶ということも感じました。
「えくぼや」さんはこの地にずっと愛され続けてほしいお店です。

取材のご協力ありがとうございました。

えくぼやホームページ
えくぼやInstagram

お問合せ
資料請求
見学会
イベント